血管への影響も?歯周病が全身に及ぼす怖いリスクとは
丹羽郡大口町にあるサカイ歯科クリニックの酒井です。
歯周病は、口腔内の健康だけでなく、全身の健康にも大きな影響を与える病気です。歯周病と全身の健康の関係について、特に血管や心臓への影響を中心に解説し、歯周病のリスクとその対策について考えます。
歯周病の原因と全身への影響
歯周病は、歯と歯茎の間に溜まる歯垢(プラーク)や細菌が原因で起こす炎症性疾患です。これにより、歯がぐらつき、最終的には歯を失う原因となります。
歯周病が怖いのは、口腔内だけはなく、全身に悪影響を及ぼすことが知られています。 歯周病が進行すると、歯茎や周囲の血管内に細菌が入り込み、全身に広がることが知られています。このようにして、歯周病は全身の健康への悪影響を考慮しています。
歯周病と血管の関係:血流全身に影響
歯周病が血管に与える影響は非常に深刻です。歯周病によって口腔内に細菌が繁殖すると、その細菌や病原体が血管内に入り込み、全身に送られることになります。血管に細菌が侵入すると、血管内で炎症が発生し、動脈硬化や栓血の形成が促進されます。
その結果、血液が適切に全身へ供給されず、心筋梗塞や脳梗塞といった深刻な疾患が起きる可能性があります。高齢者や生活習慣病を抱えている方は、歯周病が全身に与える影響がより大きく、重大な合併症を招きやすいとされています。
歯周病と血管心疾患のリスク
歯周病と心血管疾患との関連は、多くの研究で判明しています。
歯周病の細菌が血管内に入ることで、炎症が起こり、血管内にプラークが形成されます。このプラークが広がると、血管が狭くなり、血流が滞ることで心臓発作や脳卒中リスクが高まるのです。歯周病と心血管疾患の関連性を理解し、歯周病の予防が全身の健康を守る重要なポイントであることを知ることが大切です。
8020運動と全身の健康維持
歯周病を予防し、全身の健康を守るためには、定期的な歯科検診と日々の口腔ケアが重要なポイントです。日本では「8020運動」という運動が進められており、80歳で歯を20本以上歯を残そうという運動です。この運動の背景には、歯の健康が全身の健康に大きく関与するという考え方があります。8020を達成することは、全身の健康を維持することにもつながります。
歯周病が原因のその他の疾患
歯周病は心血管疾患だけでなく、他の全身疾患も関連しています。例えば、糖尿病と歯周病の関連性はよく知られており、歯周病があると血糖値のコントロールが悪化するのは有名な話になってきています。また、糖尿病患者は歯周病にかかりやすく、悪化しやすいことがわかっています。歯周病と糖尿病は密な関係にあると言えます。
さらに、妊娠中の女性が歯周病にかかると、早産や低体重児のリスクが高まるとも言われています。
歯周病予防のための具体的な対策
歯周病の進行を予防、全身への影響を先に考えるためには、日々の口腔ケアと定期的な歯科検診が重要です。歯周病予防のための具体的な対策を紹介します。
1.毎日のブラッシングとフロスの実施
歯垢は歯周病の原因であるため、毎日ブラッシングとフロスを使って歯垢を落とすことが大切です。 特に、歯と歯茎の接合部には歯垢がたまりやすいため、この部分を意識して清掃することが大切です。歯科医や歯科衛生士からのアドバイスを受け、正しいブラッシングテクニックを実践しましょう。
2. 定期的な歯科検診の重要性
歯周病は初期の段階では症状がないため、定期的な歯科検診を受けることが非常に重要です。 歯科医や歯科衛生士に歯垢や歯石を取り除いて、歯周病の進行具合をチェックしてもらいましょう。特にリスクが高いとされる方は、3ヶ月に一度の検診を心掛けることが非常に大事です。
3. 健康的なライフスタイルの確保
歯周病を防ぐためには、口腔内のケアだけでなく、全体的な健康を維持することも大切です。また、栄養バランスの取れた食事と適度な運動は、全身の健康を支え歯周病の予防にもつながります。
まとめ
歯周病は、口腔内の病気に止まらず、全身の健康に重大な影響を与える疾患です。 特に、血管全体に広がることで、心筋梗塞や脳梗塞といった重大な疾患を発症するリスクが高くなります。定期的な歯科検診や日々の口腔ケアを徹底し、歯周病から全身の健康を守ることが重要です。
(執筆者)
サカイ歯科クリニック 院長 酒井 雄規
経歴
2012年 松本歯科大学卒業
2012年 松本歯科大学病院研修医
2013年 茂木信道歯科医院
2020年 アス横浜歯科クリニック
2021年 新百合山手ファースト歯科
所属学会・認定資格
日本歯周病学会 認定医